国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2024年には人口の30%が65歳以上の高齢者になると予測されています。

超高齢社会における大きな課題が、「高齢者の性」です。

高齢者の性愛の問題は、「遠い未来の話」「自分とは無関係な他人事」と思われがちです。そもそも社会的な支援の対象として議題に上りにくく、 メディア上には偏った情報しか上がらない。

その一方で、各種調査のデータからは、いくつになってもセックスへの未練や執着を断ち切れずにモヤモヤしている高齢者の姿、パートナーとの性欲ギャップに悩んでいる生々しい高齢者の姿が浮かび上がってきます。

「高齢者ならではの性の悩み」は、実はほとんど存在しません。60代の後半、そして70代の半ばになっても、性に関する欲求や悩みは、思春期の若者や現役世代とあまり変わらない。

だとすれば、高齢者の性の現状を見れば、私たちの社会にどのような制度やサービスが欠けているのか、そしてその欠落をどうすれば埋めることができるのかを明らかにできるはず。

こうした視点から、私たちは2017年に高齢者の性の現場と課題を描いた『セックスと超高齢社会』(NHK出版新書)を刊行。高齢者の性をテーマにした講演を各地で開催しています。