これからヌードデッサン(裸婦デッサン)に挑戦してみたい、という初心者の方のために、デッサンをはじめる上でのガイド=「よくある質問と回答」を掲載いたします。

ヌードデッサンの基礎知識編

Q:そもそも、デッサンって何?

デッサンとは、鉛筆やパステル、ペンなどの道具を使って、物の形、輪郭、明暗、質感、量感を、紙の上に表現することを指します。日本語では、「素描」といいます。

デッサンは、絵画の試作や下絵のために描かれたり、絵画の基礎訓練のために描かれることが多いです。

美術の世界において、「デッサン力」とは、「対象を把握し、的確に表現する力」を指します。デッサンを学ぶことによって、「目の前にあるものを、正しくとらえる訓練」をすることができます。

Q:ヌードデッサンって、誰にでもできるの?

もちろん、誰にでもできます。「デッサン」というと堅苦しく聞こえますが、ららあーとの場では、「楽しいお絵描き」と考えて頂いて大丈夫です。「上手に描くこと」ではなく、「楽しんで描くこと」が目的になります。

試験や採点があるわけではないので、基準は、「他人から見て、上手いかどうか」ではなく、「自分から見て、うまく描けたかどうか」「以前の作品に比べて、うまく描けたかどうか」「楽しんで描くことができたかどうか」です。

Q:デッサンを上手に描くことって、難しいんじゃないの?

一般の人にとって、デッサンをする目的は「上手に描くこと」ではなく、「楽しんで描くこと」なので、デッサンを上手に描けるかどうかを、過度に気にする必要はありません。それでも、デッサンの技術が上がってくると、描く楽しさも増してくるのは事実です。

今まで絵を全く描いたことの無い人にとっては、「上手に絵を描くこと」は、とても真似できない難行苦行のように思えますが、それは不幸な勘違いです。

絵を描く技術は、自転車に乗ることと同じように、一定の手順を踏んで、時間をかけて訓練すれば、誰でも上達します。

Q:どうして、プロの絵描きになるためには、ヌードデッサンをする必要があるの?

ヌードデッサンを上手に描くためには、絵を描くために必要な基本原理を、全てマスターする必要があります。正確なプロポーション、バランス、陰影を描かないと、すぐに不自然さがバレてしまいます。

そのため、ヌードデッサンをきちんと描く訓練をすれば、人物や風景のみならず、絵を描くために必要な基本原理を、自然に覚えることができます。

もしも、あなたが画家やマンガ家、イラストレーターになりたい、と考えているのであれば、ぜひ、一度ヌードデッサンにチャレンジしてみましょう。ヌードデッサンは、難しくも楽しい、奥の深いデッサンなのです。

Q:なぜ、ヌードになるの?服を着たままではいけないの?

裸体を描くことは、造形美術の勉強の基本だからです。

人物を描くとき、肉体の構造を理解していないと、仮に洋服を着ている姿を描いたとしても、プロポーションに狂いが生じてしまいます。そのため、肉体の構造を理解するために、裸体のデッサンを行うのです。

もちろん、裸体=ヌードを描くことには、「美術の勉強」という理由以外にも、様々な意義があります。裸婦モデルを描くことには、花や風景を描くこととは異なる、別格の面白さ、奥深さがあります。

裸婦を描いた経験があると、美術館に飾られている巨匠の裸婦画や、画集で見るデッサンや絵画が、より身近なものに感じられるでしょう。

Q:ヌードデッサンの会場は、どんな雰囲気なの?

一言で言えば、美術館のように、静かで落ち着いた、心地の良い雰囲気です。

モデルがヌードになることには、会場の雰囲気と、描き手の意識を変える効果があります。モデルが一糸まとわぬ裸になることで、「描き手とモデルとの真剣勝負!」という雰囲気が生まれます。

モデルが、自分の身体の全てを使って表現しているポーズを、モデルの真剣さと努力に応えるために、作品としてきちんと完成させなければいけない!
というプレッシャーがかかり、描き手も、真剣な気持ちで、デッサンに集中できます。ぜひ、この独特の雰囲気を味わってみてください。

Q:画家でも美大生でもない一般の人が、ヌードデッサンに参加する意義は?

画家やマンガ家を目指す人にとっては、「絵を上手に描くための訓練」の場になりますが、ここでは、特に絵のプロを目指しているわけではない一般の人が、ヌードデッサンに参加する意義をお話ししましょう。

1.人体を見る目が変わる

デッサンを通して人体を観察すると、骨格や筋肉、手足のバランスなど、今までの日常生活では気がつかなかった、多くのことが見えてきます。改めて、人体の造形美と機能美に驚くはずです。

2.人間の裸を、「いやらしいもの」ではなく、「美しいもの」としてとらえることができる

今の時代は、膨大な数のヌード画像やポルノ動画が、ネット上で無料で生産・消費されているため、いつでもどこでも、裸を見ることができるようになり、その結果として、「裸の価値」が、著しく低下しています。

人間の裸体が、単なる「商品」「いやらしいもの」「下品なもの」としてしか認識されなくなり、普通の人が、日常生活の中で、裸が本来持っている「美しさ」や「魅力」、「人を元気にする力」に触れる機会は、ほとんど無くなってしまいました。

そういう意味で、ヌードデッサンには、今の時代に失われてしまった「裸の価値」や人体の機能美・造形美に対する「畏敬の念」を再発見する効果、そして、あなたが、自分自身のセクシュアリティ=性に対する価値観を見つめ直すことのできる効果があります。

世間に氾濫する、美意識の完全に欠如した性情報・性産業にゲンナリしている方、新しい角度から人間の裸の価値を見つめ直したい方は、ぜひ、ヌードデッサンに参加してみてください。

3.ストレスの解消、気持ちのリフレッシュになる

「絵を描く」という行為には、人の心を落ち着かせる効果や、溜まっているストレスを発散する効果があります。また、人間の裸には、見る人の心に、刺激や安らぎを与える効果があります。

ヌードデッサンをすることによって、心の奥のストレスや欲求不満、イライラをすっきりさせたい、仕事に集中できるようになりたい、という動機で参加する人もいます。

Q:「女の人の裸が見たいから」という動機で参加してもいいの?

はじめは、「ヌードを描いてみたい」「きれいな女の人の裸を、生で見てみたい」という参加動機で、全く問題ありません。プロ・アマを問わず、ある人が芸術やアートに興味を持つようになるきっかけは、そうした素朴な性的興味・関心に起源があることが多いので、特に恥ずかしがることはありません。

実際にヌードデッサンを描いていくうちに、人間の裸体は、性的好奇心を満たすための「商品」ではなく、「自然の芸術」であるということ、そして、「全ての人の裸には個性があって、それぞれの美しさがある」という、ごくごく当たり前の事実に気づくでしょう。

それにともなって、裸体を見る目も変わり、「裸を見たい」という単純な性的欲求よりも、「裸の美しさを、きちんと表現したい」という、美的欲求が生じてくるはずです。

Q:ズバリ、裸婦デッサンの魅力は?

裸婦の魅力は、「曲線美」にあると言われています。

古来より、女性の裸体の曲線美は「神が創造した芸術」として、多くの芸術家を魅了してきました。巨匠と呼ばれる画家の大半は、それぞれ数えきれないほどの裸婦デッサンを遺しています。

現在でも、女性の裸体の曲線美をモチーフにした商品やデザインは、私たちの身の回りに数多く存在しています。女性の裸体の曲線美には、人間を魅了してやまない何かがあるのでしょう。

なぜ、人間はこれほどまでにこの曲線美に魅了されるのか、ということを考えながら、裸婦デッサンに参加してみるのも、面白いかもしれませんね。

Q:ヌードデッサンは、何分単位で、合計何コマ行われるの?

多くのヌードデッサンは、「20分間モデルがポーズをとって、10分間休憩」を1コマとして行われます。

実際に自分でポーズをとってみると分かりますが、同じポーズで、20分間動かずに静止し続ける、というのはなかなかの重労働です。「20分ポーズ、10分休憩」という形で行うことによって、モデルの身体に大きな負担をかけずに、ヌードデッサンを行うことができます。

ららあーとでは、原則として「1コマ15分×10分休憩」の形で行います。

モデル編

Q:ヌードデッサンのモデルになる人は、どんな人が多いの?

ヌードデッサンのモデルになる人は、演劇の役者、バレエ、ダンスなどの舞台芸術に関わっている人や、美術系の大学の学生・卒業生の人が多いです。

一定時間、裸で同じポーズを保つためには、かなりの精神力と体力がいるので、自分の身体表現能力に自信のある人や、美術に関心のある人に向いている仕事と言えるでしょう。

デッサンモデルは「美術モデル」と呼ばれていて、美術モデルを派遣する会社や紹介所もあります。

美術モデルのニーズの大半は、女性のヌードモデル(裸婦モデル)であり、着衣でのモデルや、男性のヌードモデルに対するニーズは、それほど多くないようです。

Q:ヌードデッサンのモデルになる人は、どんな気持ちなの?

はじめてのモデル=最初に人前で裸になる時は、のどがカラカラになるほど緊張したり、顔が真っ赤になる人も多いそうです。

しかし、一度裸でモデル台に立つと、そういった恥ずかしさや緊張感は吹き飛んでしまい、落ち着いた気分で、冷静にポーズをとり続けられるようになった、という意見が多いです。

人前で裸になることで、今までに味わったことの無い解放感、気持ちよさを感じる人もいれば、自分の知らない自分の裸体の美しさを、第三者から賞賛してもらえることに、感動を覚える人もいます。

ただ、人前で裸になること自体は、いったん慣れてしまえば、ごく当たり前の、何でもないことになります。それよりも、「描き手に満足してもらえるようなポーズをとるにはどうすればいいか」「よりレベルの高いデッサンモデルになるには、どのような努力をしたらよいのか」といったことが、課題になってくると思います。

ヌードモデルに興味がある人は、ぜひモデル体験参加をご検討下さい。

Q:モデルをデッサンする時のマナー、心得は?

「デッサンは、モデルと描き手の共同作業である」ということ、そして、
「描き手の気持ちは、モデルに伝わる」ということを、心得ることです。

描き手が真面目に、一生懸命に描こうとすれば、その真剣な気持ちは、モデルさんにも必ず伝わります。

それによって、モデルさんは、集中した気持ちになり、さらに美しいポーズを表現してくれるでしょう。結果的に、会場全体の空気や雰囲気が、モデルと描き手の双方にとって、心地よいものになります。

モデルと描き手、双方の気持ちの共鳴によって作り出された、静かで温かい雰囲気の中でのデッサンは、まさに、至福の時間です。この至福の時間を体感できるよう、真剣な気持ちでデッサンに取り組んでください。

Q:モデルのポーズは、どうやって決めるの?

ららあーとの場合は、「モデルの身体に負担がかからないポーズ」で、かつ
「初心者の方でも描きやすいポーズ」(難しい姿勢やアングルではないポーズ)をとります。

個性のあるポーズ、動きのあるポーズは描き手の意欲を刺激しますが、無理なポーズをとってモデルが身体を痛めてしまってはいけないので、モデルと描き手、双方にとって楽なポーズが中心になります。

具体的には、「立位(立ちポーズ)」と「座位(椅子に座ったポース)」がメインになります。

Q:モデルの人は、長い間裸でポーズをとっていて、寒くならないの?

ヌードデッサンを行う場合、空調でモデルが裸でも寒くならないように会場の気温を調整します。

モデルの体調を最優先に考慮するため、逆に、参加者の方が暑くなってしまうケースがあるので、当日は、簡単に脱ぎ着しやすい服=体温調節が可能な服でお越しください。

デッサンのテクニック編

Q:デッサンを描くためには、どのような道具をそろえればいいの?

●鉛筆

デッサンに使える最も身近な画材は鉛筆です。鉛筆の種類には、硬くて薄い「H」系の鉛筆(H、2H、HBなど)と、軟らかくて濃い「B」系の鉛筆(B、2Bなど)があります。Hは「Hard」の頭文字で、Bは「Black」の頭文字です。

通常の鉛筆デッサンでは、HB、あるいはBから描きはじめて、太い線や陰影などの濃い調子を入れる際に、2Bや4Bを用いるのが一般的です。

ちなみにシャープペンシルは無機質な味気ない線になりがちなので、デッサンには合いません。

大人になると、どうしても鉛筆を使う機会が少なくなるので、こういう機会にこそ、鉛筆をしっかり使って、鉛筆ならではの描き心地や手触り、タッチの味わい深さを楽しみましょう。

●鉛筆の削り方

鉛筆はなるべく芯が長く出るように削り、芯の腹の部分で描くように心がけます。

●消しゴム

鉛筆とともに必要になるのが、消しゴムです。通常の文房具屋で売っている消しゴムは、紙の表面を傷めやすいので、可能であれば、画材店に行って、ねり消しゴムを購入しましょう。

ねり消しゴムは紙を傷めず、形を自由に変えて使うことができます。先を細くして使用すると、人物の瞳の中に光(ハイライト)を入れることもできます。

デッサンにおいて、消しゴムは単なる「消す道具」ではなく、「描く道具」にもなります。鉛筆で塗りつぶした部分に、消しゴムで白い線を引いたり、
絵の表面に叩くようにあてて色の濃さを薄くしたり、ぼかしたりすることができます。

●紙

デッサンを描く紙は、量販店で売っているスケッチブックや画用紙で構いません。画用紙は、表面に凹凸があるため、鉛筆の腹を用いたデッサンに適しています。

Q:デッサンは、座って描くべき?それとも、立って描くべき?

「絵は座って描くもの」と考えられがちですが、直立の姿勢で描いてみると集中力が上がったり、視点が上がることで、モデルのポーズの別な美しさが発見できる場合もあります。

機会があれば、一度立って描いてみましょう。足と脳が刺激されて、新鮮な気分でデッサンが描けるかもしれません。

Q:デッサン中に、自分の描きたい部位・ポーズが見える位置に、移動してもいいの?

もちろん、移動はOKです。グループでデッサンを行う場合、各人の座席が予め決められていて、ずっと同じ位置から決められたポーズのデッサンを描き続ける、ということになりがちですが、描きたい角度や部位、ポーズがあれば、他の参加者に断った上で、積極的に移動してもらって構いません。

座席の移動や譲り合いは、参加者間でのコミュニケーションにもなり、お互いに良い刺激が生まれるでしょう。

Q:全身を描くのはまだ難しいので、モデルの顔だけ描いても大丈夫ですか?

もちろん、大丈夫です。「必ず全身を描かなければならない」というルールはありませんので、モデルの顔、上半身、胴体、腕や足などの部分的なデッサンに集中して頂いても構いません。

初心者の人は、まず最も描きやすい「正面の顔」を描いて、その次に「顔~胸の上半身(バストサイズ)」を描き、最後に全身のデッサンにチャレンジという流れがお薦めです。

Q:デッサン会で描く前に、自宅でデッサンの練習をしたいのですが、良い方法があれば教えてください。

まず自分自身の顔を鏡に映して、自画像を描いてみましょう。自分の顔であれば、失敗しても誰からも怒られませんし、時間を気にせずに描くことができます。

毎日見ているはずの自分の顔も、デッサンをしてみると意外な発見があるものです。また、三面鏡があれば、様々な角度から描くことができます。

顔やバストサイズを描くことに慣れてきたら、最後は全身鏡を使って、全身のデッサンに挑戦してみましょう。いずれも、まずは正面から見た構図からはじめると、描きやすいと思います。

最初は自己流で全く構いませんので、どんどんデッサンを描いてみましょう!

裸婦デッサンのポーズ集を参考にすることもお勧めです。

Q:写実的なデッサンではなく、アニメ調、マンガ風の絵を描いても良いですか?

もちろんOKです。ららあーとには、画法やタッチのきまりや制限は無いので、自由な画風で描いて頂いて構いません。

ただ、アニメやマンガ風の人物画やイラストを描く際=人物を単純化・簡略化して描く際にも、人体デッサンの基本ができていないと、うまく表現することができないので、何枚かは、写実的なデッサンに挑戦してみることをお勧めします。

ポーズ編

Q:ヌードデッサンのポーズには、どのような種類があるの?

ヌードデッサンのポーズには、大きく分けて、以下の6種類があります。

1.立ちポーズ(立位)

2.寝ポーズ(側臥位、仰臥位、上体を起こした寝ポーズ)

3.座りポーズ(座位)

4.腰かけポーズ(椅子に腰かけるポーズ)

5.膝立ちポーズ

6.かがみポーズ(しゃがみポーズ)

もちろん、この他にも様々なポーズがありますが、15~20分間というデッサンの時間内で、姿勢を保ち続けることのできるポーズの大半は、上記の範囲内になります。

クロッキー(3~5分程度のスケッチ)の場合、より動きのあるポーズや不安定なポーズ、前衛的なポーズをとることができます。

Q:自分が描きたいポーズをとってくれるよう、モデルにリクエストしてもいいの?

もちろん、ポーズのリクエストは可能です。事前に、運営者に「こういうポーズが描きたいのですが」と自分の希望を伝えてください。モデルの身体に過度の負担がかからないポーズ(15~20分間、その体勢を維持できるポーズ)であれば、リクエストに応じてくれるでしょう。

マナー編

Q:デッサン中のマナーを教えてください。

ららあーとの場合、参加マナーは以下の通りです。

・デッサン中、モデルに触れようとしたり、話かけたりする行為の禁止
・デッサン中の私語・携帯電話の使用・写真撮影の禁止
・デッサン中に、みだりに席を立つ行為の禁止
・他の参加者に迷惑をかける行為(大声を出す、デッサンを行わない、など)の禁止

上記の参加マナーを守れない方は、即刻会場から退室して頂き、以後の参加をお断りいたします。

といっても、基本的なマナーは、「モデルと他の参加者に迷惑をかけない」ということ、これだけです。堅苦しく考えずに、リラックスした気分でデッサンに取り組んでください。

Q:デッサン後に、自分の描いた作品の感想をモデルさんにお聞きすることは可能ですか?

可能です。ららあーとの場合、デッサン終了後に、モデルと参加者間で、講評の時間を設けております。ぜひ、モデルさんに積極的に話しかけて、自分の作品の感想を聞いてみてください。

モデルさんにとっても、自分の姿を作品にしてもらえるのは、嬉しいことです。モデルの立場から、率直な回答をしてくださると思いますよ。

Q:画家でも美大生でもない一般人には敷居の高い、高尚な場のような気がして、なかなかヌードデッサン会に参加する勇気が出ないのですが・・・。

デッサン会を含め、芸術活動は、「難しいもの」「高尚なもの」「一部の人のためのもの」と考えられがちですが、本来は、年齢や職業を問わず、全ての人が、平等に参加し、気軽に楽しむことができるものです。

ららあーとは、デッサン初心者、これから絵を描くことを始めたい人のための、ヌードデッサン会です。「高尚な芸術」などと堅苦しく考えずに、「小学校の図工の時間」=クラスメートと一緒に、手を動かすこと、絵を描くことを素朴に楽しんでいたあのころの感覚で、お気軽にご参加ください。

歴史編

 日本におけるヌードデッサンの歴史

1889年(明治22年)、日本初の美術学校・東京美術学校が開校しました。

当初の学科は、日本画・木彫・彫金のみでしたが、フランスから洋画家の黒田清輝が帰国してきたことに伴い、彼を教授として、1896年に「西洋画科」が設置されました。

洋画の勉強の基本は裸体デッサン=ヌードデッサンなのですが、明治の当時は裸でモデルになってくれる女性が見つからず、なかなかヌードデッサンの実習を開始することができなかったそうです。

そんなある日、校長の岡倉天心が、校内の茶店の女性店員に、なかなかモデルが見つからないとぼやいたところ、その女性店員が「先生、私はどうでしょう」と立候補したそうです。

岡倉校長は大いに喜んで、早速その次の週の黒田教授によるデッサン実習の時間から、彼女にヌードモデルとして、モデル台に立ってもらうことにしました。

はじめは裸になることに緊張していた彼女でしたが、いったん慣れてしまえば、どうということはない。モデルの報酬も茶店の給料よりも圧倒的に高額だったので、これは良い仕事だ、と友人に宣伝。

こうしたことをきっかけに、東京美術学校ではデッサン実習に必要な数のモデルを用意できるようになったそうです。

洋画やデッサンの普及に伴い、ヌードモデルを斡旋する「モデル紹介所」も誕生します。過去の資料を見ると、当時のモデル斡旋は、「風俗営業」の一環として、警察に監督されていたようです。

ヌードデッサン基本用語集

この言葉を知っておくと、さらにヌードデッサン・裸婦デッサンを楽しむことができる基本用語を、五十音順で解説します。

あおり(仰観)

対象物を下から見上げている位置のこと。人物の顔をあおりで上手に描くことができれば、デッサンの腕が上がってきた証拠です。

アタリ

絵を描くときの補助線、アウトライン、外郭のこと。顔や全身のデッサンを描くときに、まずアタリを描いて、おおまかな形をとってから細かい部分を描きます。

ヴィーナスのえくぼ

女性の腰とおしりの中間部分、背骨の両脇にある左右対称のくぼみを指します。「腰眼」とも呼ばれます。西洋では、美人の条件とされていたそうです。この「ヴィーナスのえくぼ」は、西洋人の女性に多く、日本人女性にはあまり見られないようです。

ヴィーナスの丘

女性の下腹部にある、陰毛の生えている緩やかな盛り上がりの部分を指します。「恥丘」とも呼ばれます。この盛り上がりは恥骨が内部から張り出しているためで、女性器周辺を衝撃から保護するためにあります。

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)

首にある筋肉で、首を曲げたり回転させる役割があります。首筋をデッサンする際はこの胸鎖乳突筋を意識して描くと、首回りを上手に表現することができます。

肩甲骨(けんこうこつ)

肩の後ろにあり、肋骨をおおっている三角形状の大型の骨。背中を見せるポーズをデッサンする際は、この肩甲骨を意識して描くと筋肉の動きがつかみやすくなります。

骨盤(こつばん)

腰回りの骨の集まり。男性と女性では形が違います。女性の腰のくびれとお尻のふくらみは、子どもを産むために広く張り出した骨盤によるものです。
ヌードデッサンの際に、膝立ちのポーズをとると、骨盤周りの筋肉が緊張し、モデルの胴体~太腿が美しく見えます。

鎖骨(さこつ)

胸骨と肩甲骨をつなぐ骨。鎖骨がきれいな女性を「鎖骨美人」と呼ぶことがあります。裸婦デッサンを描く際、この鎖骨を意識して描くと、首回りが上手に描けるようになります。

正中線(せいちゅうせん)

身体の中心をとおる直線。女性の乳房の間からへそまでは、正中部に筋肉が無いため、一本の線として、はっきり見ることができます。下腹部では見えにくくなります。

デコルテ

女性の胸の谷間を含む、首筋から胸元にかけての部分を指す言葉。フランス語。エステやファッションの世界では、デコルテを露出・強調することで、女性の美しさを最大限に引き出せる、とされています。裸婦デッサンの際にも、モデルのデコルテを綺麗に表現できるよう、心がけてみましょう。

ハッチング

デッサンの技法のひとつで、線を何本も並行に描く技法。マンガ用語では「カケアミ」(アミカケ)。

主に、対象の明暗を表現する際に用いられます。ハッチングの線を掛け合わせることで濃淡を出す技法は、クロスハッチングと呼ばれます。

俯瞰(ふかん)

対象物を、上から見下ろしている位置のこと。

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